おわりに

この研究の目的は、オンライン調査のゲーミフィケーションに関する先行研究の以下 3 つの問題点を解決することであった。

  1. ゲーミフィケーションを適用したオンライン調査フォームの作成の労力が非常に大きい
  2. 適用したゲーム要素により、回答の質が下がってしまう場合がある
  3. 「ランキング」というゲーム要素がオンライン調査において有効であるかが示されていない

以上の目的の達成のために、この研究ではオンライン調査のゲーミフィケーションという分野について、以下に述べる 2 つの貢献をした。

ビンゴアンケの文書化#

1 つ目に、オンライン調査のゲーミフィケーションにおける先行研究での問題点を解決することを目的とした、ビンゴを活用したオンライン調査フォームの雛形「ビンゴアンケ」を提案し、詳細を文書に残した

ビンゴアンケの検証#

2 つ目に、62 名の被験者による実験アンケートとその評価を行う評価アンケートを実施し、そこで得たデータから、ビンゴアンケとオンライン調査におけるランキングの有効性、ビンゴアンケにおけるゲーム要素の回答値への影響を検証した。

ビンゴアンケについて、従来型アンケートよりも回答者の回答への意欲が向上し、アンケートがより楽しく回答できるものになったという結果が、評価アンケートによる定量的・定性的な評価から得られた。またビンゴアンケでは自由記述において有効な回答が得られる確率が上がるというデータも得られた。これは回答データを収集することが主要な目的であるアンケートにおいて、望ましい成果であり重要な貢献である。以上からビンゴアンケは有効であると判断した。

また今回の実験では、実験アンケートの回答値間で有意差は認められなかった。このことから、ビンゴアンケではゲーム要素により回答値に影響を及ぼすことなく、ゲーム要素を活用したアンケートを実施できる可能性がある。

最後に、今回の実験ではランキングの有無による評価アンケートの回答値間の有意差は認められなかったが、ビンゴアンケ(ランキングあり)の回答値がビンゴアンケ(ランキングなし)の回答値よりもわずかに高い傾向が見られた。このことから、オンライン調査においてランキングが有効である可能性はあると推測した。

今後の研究#

今後の研究として以下の 2 つが挙げられる。

1 つ目は 2 回目以降のビンゴアンケの効果の検証である。今回の実験では被験者がビンゴアンケを初めて目にした状態で実施したところ、ビンゴアンケが有効であると言える結果になった。ここでビンゴアンケが普遍的に利用される場合を考え、2 回目以降でも同様の効果を得られるかという検証の必要性が感じられる。

2 つ目はランキング上位者に報酬を与える場合のビンゴアンケの有効性の検証である。ランキングは順位をつけるという仕様上、条件を満たした参加者にのみ報酬を与えるという仕組みを作ることが簡単である。そこでビンゴアンケの上位数名にのみ報酬を与えるようにすれば、従来の調査方法よりも少ない費用で、かつ回答者の回答への意欲を向上させ、より楽しく回答してもらいながらデータを収集できる可能性がある。