結果・考察
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ビンゴアンケの有効性#
5 段階評価による分析ビンゴアンケの有効性の検証のためにまず従来型アンケートである A1・B1、そしてビンゴアンケである A3・B3 のそれぞれの評価アンケートの 5 段階評価の回答値を比較する。
グループ B3 の回答者のうち 1 名、評価アンケートの回答が得られなかった。放棄した、気づかなかったなどが理由として考えられる。
A1 と A3、B1 と B3 グループの評価アンケートの 5 段階評価の回答値の分布が以下である。


A1・A3 それぞれの回答値について Mann-Whitney の U 検定を行ったところ、Q1・6・7 について、有意水準 5%で A3 の回答値の方が A1 のものよりも高いという有意差が認められた。各設問の回答値について、A1・A3 それぞれの標本数(N)、平均値(M)、中央値(MD)、標準偏差(SD)、2 標本間の U 値をまとめた表が以下である。


アンケート A について、
Q1「本調査アンケートへの回答はいかがでしたか。(1. つまらなかった、5. 楽しかった)」の回答値より、A3(4.40 ± 0.70)の方が A1(2.91 ± 1.51)よりも楽しいということになる。
Q6「アンケートに「得点を稼ぐ」というゲームの要素を取り入れ、その最終得点をランキング形式で公開すると、回答者のモチベーションを向上させられるという仮説について、あなたはどう思いますか。(1. 有効だと思わない、5. 有効だと思う)」の回答値より、A3(4.50 ± 0.85)の方が A1(3.00 ± 1.34)よりもランキング機能が有効だと感じたということになる。これは、ランキング機能がない A1 の被験者はランキングの有効性の想像がつかず、逆にランキング機能があった A2 の被験者はランキングによるモチベーションの向上を身をもって感じたためだと考えられる。
Q7「本調査アンケートへの回答を他の人にも勧めますか。(1. 勧めない、5. 勧める)」の回答値より、A3(4.10 ± 1.45)の方が A1(2.73 ± 1.01)よりも回答を他の人に勧めたいアンケートであったと言える。これは、A3 の方が A1 よりも被験者からの評価が高いアンケートであったと間接的に示した結果だと言える。
以上の結果から、A3 のビンゴアンケは A1 の従来型アンケートよりも被験者の回答意欲を向上させる、より楽しく取り組めるアンケートになっていると言える。よってアンケート A においてビンゴアンケは有効であったと言える。
一方、B1・B3 それぞれの回答値について Mann-Whitney の U 検定を行ったところ、有意差が認められた設問はなかったが、B3 の回答値の方が B1 のものよりも大きい、すなわち評価が高い傾向が見られる。このことから、アンケート B においてもビンゴアンケは有効であると推測される。
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自由記述による分析従来型アンケートである A1・B1、ビンゴアンケである A3・B3 のそれぞれの評価アンケートの自由記述
- Q9「本調査アンケートについて、良い点は何だと思いますか。」
- Q10「本調査アンケートについて、悪い点は何だと思いますか。」
- Q11「その他本調査アンケートについて、または以上回答への補足等何かあればお書きください。」
で得られた回答を種類分けして集計した結果が以下である。

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ポジティブな回答A1・B1 の従来型アンケートについて、最も多く得られたのが「簡単(A:4、B:4)」であった。他に、ゲーム要素の活用によりアンケートを改善しようというテーマがいい(テーマ(A:2、B:1))や、アンケート全体の長さがほどよい(長さ(A:1、B:2))という意図の回答なども得られた。
A3・B3 のビンゴアンケ(ランキングあり)について、仕様やビンゴの仕組みが良い(仕様(A:3、B:0))、ビンゴにより回答意欲が向上する(意欲向上(A:1、B:1))という意図の回答や、「楽しい(A:2、B:3)」「簡単(A:0、B:3)」などの回答が得られた。
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ネガティブな回答A1・B1 の従来型アンケートについて、アンケートの目的が不明(目的が不明(A:1、B:3))や、設問の文が長い、同じだと見間違える設問がある(設問(A:1、B:4))、アンケート全体の長さが長い(長い(A:0、B:2))という意図の回答などが得られた。
A3・B3 のビンゴアンケ(ランキングあり)について、ビンゴの分手間や時間がかかる(手間(A:0、B:1)、時間(A:1、B:0))という意図の回答などが得られた。
ポジティブな回答としてビンゴアンケでは「楽しい」という回答が複数得られ、「意欲向上」という回答も A3・B3 でそれぞれ 1 件ずつ得られた。これは従来型アンケートでは得られなかった回答であり、目的とした結果である。このことからもビンゴアンケが従来型アンケートよりも楽しく取り組めるものになっていることがわかる。
ネガティブな回答として従来型アンケートでは「目的が不明」が得られたが、ビンゴアンケでは得られなかった。これはビンゴアンケにおいて、回答者の意識がビンゴ機能の目新しさに向いたことで、またはビンゴを楽しんだことで、目的が不明瞭であることに対する不快感が薄れた結果だと説明でき得る。以上から、自由記述による分析結果もビンゴアンケの有効性を肯定するものであったと言える。
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回答率による分析従来型アンケートである A1・B1、ビンゴアンケである A3・B3 のそれぞれの実験アンケートの自由記述の回答率を示した図が以下である。
Q15(
- A「その他一般的な調査アンケートについて、または以上の回答への補足等何かあればお書きください。」
- B「大学生活について思うこと、または以上の設問に関わるコメント等何かあればお書きください。」
)について、回答率は A3(60%)の方が A1(0%)よりも高く、B3(90%)の方が B1(45%)よりも高くなった。これらはガラポンを回すために回答欄を埋めたことが理由だと考えられる。
ここで、回答に「特になし」「ありがとうございました」という意図の回答がよく見られた。それらを回答として無効なものとし、除外して集計したものが以下である。
Q15 について、回答率は A3(20%)の方が A1(0%)よりも高く、B3(60%)の方が B1(18%)よりも高くなった。よって、自由記述においてビンゴ機能により「特になし」等の回答だけでなく、有効な回答が得られる確率も上がるというデータが得られた。この結果は多くの有効な回答が得られるという点でビンゴアンケが有効であることを示している。これは回答データを収集することが主要な目的であるアンケートにおいて、望ましい成果であり重要な貢献である。
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回答値への影響次にゲーム要素により回答値に影響が出ていないかを検証するために、従来型アンケートである A1・B1、ビンゴアンケである A3・B3 のそれぞれの実験アンケートの回答値を比較する。
A1 と A3、B1 と B3 の実験アンケートの 5 段階評価・数値回答の設問の回答値の分布が以下である。





A1・A3、B1・B3 それぞれの回答値について Mann-Whitney の U 検定を行ったところ、有意差が認められた設問はなかった。このことから、ビンゴアンケではゲーム要素により回答値に影響を及ぼすことなく、ゲーム要素を活用したアンケートを実施できる可能性がある。
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ランキングの有効性ランキングの有効性の検証のためにビンゴアンケ(ランキングなし)である A2・B2、そしてビンゴアンケ(ランキングあり)である A3・B3 のそれぞれの評価アンケートの 5 段階評価の回答値を比較する。
A2 と A3、B2 と B3 グループの評価アンケートの 5 段階評価の設問の回答値の分布が以下である。


A2・A3 それぞれの回答値について、また B2・B3 それぞれの回答値について Mann-Whitney の U 検定を行ったが、有意差が認められた設問はなかった。
この実験ではランキングの有無による評価アンケートの回答値間の有意差は認められなかった。しかし、アンケート B ではビンゴアンケ(ランキングあり)の回答値がビンゴアンケ(ランキングなし)の回答値よりもわずかに高い、すなわち評価が高い傾向が見られる。このことから、オンライン調査においてランキングが有効である可能性はあると推測する。